龍の謂れとかたち
スペインで出会った龍の仲間たち
サン・ジョルディと竜の伝説
スペインのカタルーニャでは、毎年4月23日は「サン・ジョルディの日 St.jordie’s day」
愛する人に美と教養、愛と知性のシンボルとして、1本の薔薇と1冊の本を贈ってこの日を祝っている
男性は女性に花を、女性は男性に本を贈るのが一般的で、家族や友達の間でもプレゼントが交わされる
<伝説>
サン・ジョルディの謂れとして「龍」が登場する有名な伝説がある
昔々のカタルーニャと呼ばれる国のお話
その国には獰猛なドラゴンがおり、住民はドラゴンの怒りをしずめる為に、一人づつ生け贄を捧げた
王様の娘が生け贄になる日がきた
その日に、白い馬に跨がり、甲冑をまとった一人の若い騎士がやってきた
騎士サン・ジョルディはドラゴンと戦い、手にした槍でドラゴンを倒し、お姫様を救出する
溢れ出したドラゴンの血からは、美しい薔薇が咲いた
サン・ジョルディは、最も美しい薔薇を手折り、永遠の愛のシンボルとしてお姫様に贈った
<後日談>
王はドラゴンを退治した英雄とお姫様の結婚を許し、二人は末永く幸せに暮らした
という伝説はヨーロッパにはたくさんあるが
サン・ジョルディはドラゴンを退治したあと静かに去って行った
という結末を 土地の人が教えてくれた
<カタルーニャにおける聖ゲオルギウス>
聖ゲオルギウスの守護神は特にスペインのカタルーニャで深く信仰された
当時のカタロニヤはフランコ独裁の時代、人々はカタロニヤ語の使用が認められず
スペイン語の使用が義務付けられていてその反発は大きかった
カタロニヤ語の本を互いにプレゼントして、祖国への愛を誓ったと言われている
カタロニヤの人々にとってはフランコが竜(drac)であり、独裁者を倒して自分達の国の独立を夢見ていた
サンジョルディこと聖ゲオルギウスが殉教した日を祝日「サンジョルディの日」とした
この日、カタルーニャ地方では、街に花や本の市が立ち、プレゼント用に本や薔薇を買い求める
<4月23日>
ユネスコは、この日を1996年から世界図書・著作権デーとした
国連の国際デーにもなっている
4月23日が偉大な文学者、セルバンテスやシェイクスピアの命日にあたる
彼らに敬意を表して「世界本の日」に選ばれた
日本でも4月23日に本を贈るという習慣は、静かなブームではあるが
業界の期待と努力にもかかわらず、「サン・バレンタイン」ほど定着しているとはいえない
<天使のドラゴン退治>
ミケル(ミカエル・ミヒャエル)の場合は天使
翼を持っていて、キリスト教の敵を倒すのが目的であり
相手がドラゴンであるとはかぎらないし、バラの花もない
サン・ジョルディとは、はっきり区別されるべき
<サン・ジョルディ絵柄(かたち)>
サン・ジョルディの構図・登場人物・年齢などに定番はないとのこと
カタルーニャでは、槍を持った騎士が龍らしき獣(drac)を退治している図
なおバラの花があれば、まさにそれはサン・ジョルディの絵柄であるという
ノウゴロド 15世紀
【『ドラゴン 反社会の怪獣』 (ウーヴェ・シュテッフェン著 村山雅人訳 青土社)』】
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